不登校の子どもに何かいつもとは違うような変化を感じる時があります。
例えば少し口数が増えたとか、出かけたがるようになったとか、友達との交流が増えたとか、日常の中の些細な一コマの中で(あれ?)と思うことがでてきたりするのです。
不登校のお子さんには極力部屋にひきこもり昼夜が逆転しているような生活を送っているケースもたくさんあります。
そんな生活の中では見られなかったような新たな変化を目の当たりにすると、(これはまた動き出す兆しなのかな?)と親御さんは希望を見るでしょう。
この記事を読んでくださっている方は不登校のお子さんに実際に変化があったりして、その変化の本質を知りたいという方ではないかと思います。
不登校の子どもが再び動き出す時の兆しとはどんなものなのかを知り、お子さんのためにできることを精一杯したいと考えておられるのではないでしょうか?
大変愛情にあふれた方が今読んで下さっているのだと思います。
ですからきっと理解していただけるのではと思うのですが、私は不登校のお子さんに何か動き出す兆しが見られた時はあえて「何もしないで下さい。」と言いたいです。
もちろんそれはただ放置することでもありませんし、無視することでもありません。
私が申し上げたいのは先回りしないで下さいということです。
親が先回りしないということ
これは誰にでも言えると思いますが、これから自分でやっていこうと思っていることを人に「○○やってみれば?」とか「○○した方がいいよ」とか言われてしまうと単純に面白くなくなります。
さらに、勝手に気を回されてお膳立てされていたりするととたんにつまらなくなってやる気がなくなってしまいます。
親は時にそういったことを子どもにしてしまいがちです。しかもそれを子どものためだと思い込んでしまいます。
これは全くの間違いです。
子どもがこれからやろうとしていることを親が先回りして発言したり、勝手にレールを敷いたりは絶対にしないでください。
子どものために何でもしてあげたいという気持ちはよくわかります。
しかし、「子どものため」という最大の目的を達成するには、親は何でもかんでもしてあげようとはせず子どもの邪魔をしないことの方が重要なのです。
お子さんの気持ちを壊さない
最優先にしていただきたいのは、前向きに動こうとしているお子さんの気持ちです。
楽しい気持ちやワクワクする気持ちは動き出すための大きな原動力になるのは言うまでもありません。
しかし、それは使命感とも責任感とも別なのでちょっとした口出しで簡単に壊れてしまう場合があります。
お子さんに変化が見られるとついつい嬉しくなってあれこれ口を出したり先走って動きそうになりますが、そこをグッと我慢します。
これが我慢できないとお子さんの前向きな気持ちを壊してしまいます。この時、親にできることは我慢強く見守ることなのです。
簡単に親の欲を解消しない
親が子どもを我慢強く見守るというのは大変難しいことですが、逆にあれこれうるさく口を出したりお膳立てを整えたりすることは簡単です。
なぜならすぐに親の欲が解消できるからです。
「私は子どものことを思ってこんな風に言って、こんなことまでしてあげた。だから後はあの子がうまくやれば全部うまくいくはず。」
と自分はできるだけのことをしているので親としての使命は果たしたという親の欲求はとりあえず満たされます。
でもこの時点で満たされているのは親の欲求だけです。子どものためと信じながら親自らの欲求だけを解消したにすぎません。
目的は子どもを通して親の欲求を満たすことではなかったはずです。子どもが希望を持って自らが動き出すということが目的だったはずです。
子どもの経験を奪わない
親があれこれ口出ししたり先回りしたりするのは、目的を達成するための最良の方法を知っているからです。
子どもが何かをしたいという時、「それならばこうすればいい。」と親はすぐに自分なりの方法を導き出せます。ですから子どものなかなか進展しない様子がまるで足踏みしているだけに見えたり、やる気がないように見えたりします。
しかし、それは大きな誤解です。決して足踏みしているわけでも、やる気がないわけでもありません。ただ経験がないだけなのです。
親はこれまでに様々な経験を通して、色々な方法を会得してきています。しかし子どもにはまだそこまでの経験がありません。経験はこれから積んでいくのです。
その経験を親が先回りして奪わないようにします。もちろん助言を求められた時は適切に答えるといいでしょう。答えはしても決して親がやってしまわないようにします。いかに親の関わりを最小限にとどめるかがポイントです。
子どもが失敗しそうになるのを見ていられなかったり、なかなか進まないことにイライラしたりするかもしれません。しかしそれも経験です。その経験をそのままさせてあげてください。
それでももしどうしてもうまくいかない時はそっと助けてあげてください。
さいごに
たくさんの人の中で多くの人にお世話になって、時には自分が誰かのためになって私たちは生きています。
しかし、本質的には自分のことは自分でしか救えませんし、自分のことは自分でしか生かせません。自分が楽しく生きられるように導けるのはやはり自分でしかないのです。
いかに自分を大切にし楽しく生きていくかというのは人間の最大のライフハックになります。
親が何でもしてあげられたら楽だったかもしれませんがそれは無理です。 親が唯一できるのは子どもの自立に向けた成長を見守ることくらいです。
不登校になるというのは親にとっても子どもにとってもつらい経験になることが多いでしょう。しかしそれは自立に向け自分が自分でいるための貴重な経験ともなります。
お子さんが幾多の困難を越え本質的に自分を大切にできるようになった時、きっと誰かの恩を受けるありがたみや、誰かのために動ける喜びが心からわかる豊かな人生を歩まれることと思います。
